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医療用大麻はどこの国で合法?CBDを取り巻く世界情勢

2019.06.07

CBDの原料でもある薬用植物「アサ」は、世界的にも長年”規制植物”と位置付けられていましたが、含まれる成分(カンナビノイド)の研究が進んだことで、医療用使用は認めようとする流れが生まれています。今回は「CBD」に対する世界の合法化状況、取り巻く問題、さらに日本での状況や最新情報をご紹介します。

薬用植物「アサ」のカンナビノイド利用状況

薬用植物「アサ」に含まれている“植物性カンナビノイド”の作用については、長い間「謎」となっていました。

“植物性カンナビノイド”が、もともと体に備わっている“内因性カンナビノイド“と同じように身体調節機能(エンド・カンナビノイド・システム)を働かせることができると分かったのは、実はたった40年前のことです。

薬用植物「アサ」に対する世界の歴史:規制植物→認めようとする流れへ

アサは、穂から根、種子まですべてを「漢方薬」として利用されていますが、その起源はなんと5世紀!世界最古の医学書と呼ばれる中国の『神農本草経』に“麻蕡(まふん)”という名前で収載されています。

日本でも1876年から1945年の第二次世界大戦後あたりまでは、「印度大麻エキス・チンキ」が医薬品として認可されていましたが、1948年大麻取締法が制定されたことで、麻の栽培が許可制になり、さらにカンナビノイドを多く含む“穂や葉の利用は全面禁止”となりました。

また、世界的にみても1961年「麻薬に関する単一条約*1」により、アサは国際的にも規制植物として定められ、現在でもほとんどの国でアサ(ヘンプ・大麻草)の利用は禁止されています。
*1 単一条約:2015年現在、185か国締結

しかし、1980年後半~1990年代にかけ、カンナビノイド受容体や内因性カンナビノイドの発見など研究が進み、近年では「医療的にはTHCとCBD、どちらも有用な成分」と考えられています。

その結果、先進国においては少しずつ“カンナビノイド=医療用大麻(THC・CBDどちらも含む)”の使用を認めていこうとする流れが出てきています。

実際にカンナビノイド医薬品(サティベックスやエピディオレックス)も開発され、既に販売されるようになりました。(2019年現在:サティベックス-21か国販売中、エピディオレックス-アメリカのみ販売中・ヨーロッパでは審査中)

世界のカンナビノイド合法化状況

前述した通り、各国でカンナビノイドの医療利用に関する法律を変更しようとする動きが、拡がってきています。これまでに医療用大麻が合法化されている国は、30か国にも上っています(2019年4月現在)。

(画像)医療用大麻が合法化されている国

アメリカ

  • 州ごとに異なるが、医療用は50州のうち半数以上合法
  • 医療用・嗜好用ともに合法:10州(アラスカ、カリフォルニア、コロラド、メーン、マサチューセッツ、ミシガン、ネバダ、オレゴン、バーモント、ワシントン)、コロンビア特別区(ワシントンDC)

1996年、カリフォルニア州で住民投票により医療用大麻の使用が合法化されたことをきっかけに、2019年1月までに半数を超える33州が医療大麻について合法化されています。(※使用対象など一部条件付きの州もあり)
一部の州では、年齢制限等つきで嗜好用についても合法化されています。

なお、医療用のみ合法としているニューヨーク州では、嗜好用の使用について現在法律上「違法」となっていますが、「非刑罰化・非犯罪化」措置が取られているので、少量所持なら取り締まり対象にはなりません。
※2018年12月、「2019年中に嗜好用も合法化する」とアンドリュー・クオモ州知事が明言しています。

018年12月には「改正農業法」が成立しました。
この中には、今後産業用ヘンプの大量生産OK・研究開発に政府の助成金申請可能となる他、産業用ヘンプが連邦法の規制対象から除外されることも含まれています。

このような取り巻く環境の後押しもあり、アメリカでは近年「グリーンラッシュ」と呼ばれる“大麻(産業)特需”が生まれています。

大麻業界情報サイトHemp Business Journalによるアメリカ大麻産業の見通しとしては、2018年から2022年までの年平均成長率は約14.4%の右肩上がりとされ、市場全体の総売上高は、2022年までに19億ドルにも達すると予測されています。

厳しく規制している国

一方で、現在も日本のように大麻に対して厳しく規制している国も存在しており、この傾向は比較的アジア圏に多くなっています。

  • 日本
  • 中国
  • キューバ
  • インドネシア
  • マレーシア
  • フィリピン
  • サウジアラビア
  • シンガポール
  • アラブ首長国連邦

(参考)Medical cannabis policies and practices around the world|国際薬物政策コンソーシアム(IDPC)※日本臨床カンナビノイド学会有志による和訳

世界におけるCBD情勢:医療分野・美容・健康分野へ市場拡大の見通し

2018年は先進諸国が相次いで“医療用大麻の合法化”を進めるなど、植物性カンナビノイドが「次世代の健康インフラ」になる可能性へ1歩前進した年でした。

中でも「CBD(カンナビジオール)」は、同じアサに含まれる植物性カンナビノイドでもTHC成分のような精神作用がない上、多くの薬理作用を持ちながらも重篤な副作用がないことから、CBD医薬品の研究開発に期待が寄せられています。

また、医療分野以外にも美容・健康分野へと広がりを見せ、手軽さと安全性から世界各地でブームを巻き起こしています。
さらに、ヒトのみならずペット(動物)にも有用とされているため、この先の市場拡大が予想されています。

CBD製品を取り巻く世界情勢

2017年、世界保健機関(WHO)世界アンチ・ドーピング機関(WADA)が相次いでCBD製品を承認する旨の発表を行いました。

さらに翌年には、世界保健機構(WHO)による依存性薬物専門家委員会(ECDD)によって、“純粋なCBDは、依存や乱用の危険性はない”として、単一条約で定めている規制スケジュールに含めるべきではないと勧告し、CBDが国際的機関にも評価されています。

具体的に各国のCBD情勢を見てみましょう。

アメリカ

  • 大手食料品スーパーマーケット(ホール・フーズ)が発表した「2019年10大トレンド食品」にラインクイン。
  • お菓子、コーヒー、料理油、お茶、ビール、パスタなど、様々な食品に配合され販売。
  • ペット向けのCBD製品(オイル・カプセル・クッキーなど)も登場。

また、前述のHemp Business Journalによると、2017年の合法大麻産業の総売上高8億2,000万ドル(≒約822億円)のうち、“CBDを使用した商品”は最多数を占める、1億9,000万ドル(23%)にも上っています。

イギリス

  • 2016年末にCBDオイルは、「医薬品」として合法化。
    →英国大麻取引協会(CTA)によれば、合法化1年(2017年)で使用者数は倍増し、25万人。主にてんかん、腰痛、不安障害の治療の選択肢の一つとして使用されている。

スイス

  • 2017年から大ブーム中。2017年の1年間でCBD製品の製造・販売会社の登録が5社から約80倍の410社に増加。
  • CBD製品の主な摂取方法は、「スモーク」。政府は“たばこ類似品”として、アサの葉を課税対象としたため、政府の収入増(16億円以上)に繋がっている。

ブラジル

  • 2015年、THCを含まないCBD製品のみ合法化。

ニュージーランド

  • CBD製品は、省庁の承認なしで医師による処方可能。処方箋があれば、薬局で入手できる。

CBDにおける課題・問題点

これまで見てきた通り、少しずつCBDへの風向きは良くなっていますが、以前としてCBDにおける問題点も存在しています。

1. 安い大麻>高価なCBD医薬品

この問題は、大麻規制が厳しくない国で多く見受けられます。

精神作用がない・入っていてもハイならない設計となっている「高価なCBD医薬品」を使うメリットよりも、精神作用があるTHCが入っていても、医薬品ではない「安価な大麻」を利用してしまう人がいます。

また、CBDの方が多数の薬理作用を持っていますが、いくつかはTHCも持っている作用でもあり、作用の強さはTHC>CBDとされ、体感的に“大麻”を選択してしまう人が少なからず存在しています。

2. 研究途中の成分でもある「CBD」

CBDは、THCと同じく1930年頃には認知されていましたが、1960年代まで化学構造すら不明でした。

同じカンナビノイドでも、これまでの研究の主流はTHCで、CBD研究はまだ数少ないため、現在も研究が続けられています。近年、少しずつエビデンスは増えてきていますが、既知の薬物との相互作用などは、まだ十分に解明できていない部分があります。

3.飼い主の善意による過剰投与

CBDはカンナビノイド受容体のある動物(=脊椎動物)であれば、その薬理作用が働くことが分かっています。
CBDの前臨床試験は一部の実験動物でも行われていますが、ペットとされているような動物たちへの研究は十分ではありません。

サプリメントとして、自分で量を加減できることはメリットでもありますが、ペットの場合、飼い主の“善意の過剰投与”となりかねないという問題もあります。

日本におけるCBD

これまで見てきた通り、先進諸国の一部において、カンナビノイドの研究が進められ、その結果、カンナビノイドの人道的医療利用が行われ始めています。

そんな中で精神作用のない「CBD」は、有名なてんかん治療以外にも難治性疾患の治療を含め、多くの可能性が期待されています。

世界におけるCBDを取り巻く環境変化を追い風に、そろそろ日本でも「CBD(カンナビジオール)」の可能性について、一歩前に出て考える時が来ているのかもしれません。

日本でCBD製品の品質管理(NAMP認証)スタート

現在日本でCBD製品を利用する場合、健康食品(サプリメント)として海外のCBD製品を輸入するケースが多くなっています。
また、大手CBD製品以外でも、茎・種子由来のCBD製品(医薬品を除く)であれば、個人で輸入することも可能です。

しかし、CBD製品の中には、ラベルに添付されている含有量が含まれていなかったり、違法であるTHC成分が含まれていたりと“粗悪品”であるケースも存在しており、この問題は日本だけでなく海外でも問題となっています。

そんな中、日本でも2016年頃よりCBD製品の品質検査体制を求める声が国会の場でも取り上げられており、2017年にCBD製品の品質管理に関する自主規制(NAMP認証)の取り組みがスタートしています。

日本においてCBD製品を利用する場合には、信頼できる製造元や販売元以外にもNAMP認証製品を選択するなど、利用者側の自己防衛も大切です。

NAMP認証とは?

一般社団法人 日本薬用植物研究推進協会(NAMP)によるCBD製品の検査・認証制度。
現段階では、自主規制制度となっています。(2019年4月現在)。

この制度では、日本臨床カンナビノイド学会の最新ガイダンス・NAMP規約に基づいて、検査および認証が行われます。
今後、日本の法令を遵守した安全で安心できるCBD製品の普及を目指しています。

(参考)CBD製品検査・認証制度チラシPDF|一般社団法人 日本薬用植物研究推進協会

最新情報!日本でもてんかん治療の新薬として、CBD医薬品が臨床試験可能へ

精神作用を含まないCBD医薬品としては、イギリスGW社のエピディオレックス(Epidiolex)が発売されています。

エピディオレックスは、2018年にアメリカで承認され“難治性のてんかん治療薬”として利用されており、ヨーロッパでも認可審査中であり、2019年中にも販売開始となる見込みです。

これまで、日本では大麻取締法上の問題があり、医師だとしても医薬品として輸入して処方することも使用することもできませんでした。
しかし、2019年3月19日、国会での沖縄および北方問題に関する特別委員会にて、厚生労働省は「治験(臨床試験)は可能」とする見解を示しました。

アメリカでは、主に幼児期に多いレノックス・ガストー症候群とドラベ症候群の難治性てんかん治療薬として、エピディオレックスは利用されています。

日本においても、レノックス・ガストー症候群患者:約4,300人、ドラベ症候群:約3,000人の患者がいるとされています。

エピディオレックスの治験を行うには、大麻研究者免許を持っている医師の元で、輸入許可された医薬品を使用するなど諸条件はありますが、政府が「ヒトに対する治験を可能」と回答したのは、日本でのカンナビノイド人道的利用へ大きな一歩となりました。
今後の動向に期待したいですね!

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