摂取方法で変わる!CBDの効き方
世界保健機関(WHO)や世界アンチ・ドーピング機関(WADA)など国際機関が、相次いで有効性と安全性を高く評価しているCBD(カンナビジオール)。
CBDは産業用ヘンプ(アサ・大麻草)の茎・種子に多く含まれ、もともと体が持っている“身体調節機能”が弱まった時、同じように働くことができる成分です。
これまでの研究でてんかん・頭痛・関節痛・不眠症・統合失調症など、約100疾患以上に有用である可能性を持っているとされ、精神作用もほとんど含まれていないので、日本でも法律的に問題なく利用できます。
日本でもじわじわ注目されており、CBDは“健康食品”の扱いで、現在までにCBDオイルやリキッド、クリーム、クッキーなどなど様々な形状で販売されています。
『CBD製品なら、どれを摂っても効果は同じ…』と思っていませんか?
実は摂取方法によって、効き方は異なるのです!
普通に飲むと低い!?生体利用効率とは?
成分の効き方は、「生体利用効率(生物学的利用能)」によって変わってきます。
この生体利用効率とは、何か薬物(薬)を服用した際に、薬物がどれだけ全身循環血中に含まれ、作用するかを示した割合のこと。
つまり、「生体利用効率が高い=全身を巡っている血中に薬物成分が多くある=薬物成分が効きやすい」ということなのです。
そのため、CBDの効き方は、“どこから吸収されるか?”がポイントなのです。
ただし、個人の体調や摂取時の状態によっても生体利用効率は変動します。
静脈投与(点滴)……生体利用効率:100%
生体利用効率が一番高いのは、点滴。全量、全身循環血中に利用することができます。
経口摂取(普通に口に入れて飲む)……生体利用効率:約6~15%
意外に低いのが、普通に口から飲む行為。
その理由は、口から入った薬物は、消化管から吸収→肝臓・消化管での代謝(初回通過効果)の影響を受けるため、全身循環血中まで成分があまり残っていないのです。
舌下摂取……生体利用効率:約35%
経口摂取と同じく口から摂取しますが、舌の後ろに薬剤を垂らしてしばらく経ってから飲み込む方法です。
近年は、花粉症やダニなどアレルギーに対する免疫療法の治療もこの「舌下摂取」で行われています。
舌の裏には毛細血管がたくさんあるため、少し薬剤を置いておくことで毛細血管から吸収されます。
気化摂取……生体利用効率:約40%
成分を気化させて、吸入する方法。
吸収面積の大きい肺から直接血管へ吸収されます。
経皮吸収……生体利用効率:約5%~ ※製品によって変動に幅
皮膚にクリームなどを塗って、皮膚から成分を吸収させる方法。
皮膚からの吸収は、角層の透過性がネックとなるため、経口摂取の約1/3程度の生体利用率となります。
高分子や水溶性薬物の場合は、極端に吸収性が低くなる傾向があります。
推奨されているCBD摂取量:少量スタートが基本
“美容および健康のために“と、いざCBDオイルなどの製品を利用してみようと思っても、どのくらいの量を摂取すればよいの?と迷う方もいるでしょう。
実は日本より先にCBDブームが起こっている海外を見ても、美容や健康のための統一された推奨量は、具体的に定められていません。
とはいえ、商品に摂取目安を設けているメーカーも多いので、基本的には摂取目安の通りにすると良いでしょう。
ただ、気を付けたいのは「CBDの効き方・感じ方に個人差がある」ということ。他の人には適量でも、自分には適量ではないかもしれません。
また、個人でも体調によっては、感じ方が異なることもあります。
だからこそ、スタート時は必ず少量から始めることが大切です。
なお、CBDについて、国際保健機関(WHO)のレビューでは、次の通り報告されています。
- CBD摂取による乱用や依存の可能性は低い。
- 急性中毒量は「150mg/kg以上」と、極端な過剰摂取でない限り安全。
- 重篤な副作用はなく、良好な忍容性(=出ても一般的に耐えられるレベル)。
このようにCBDは多少の増減で、何か問題が起こることは考えにくいとされています。
CBDの摂取タイミング・量などは、自分で薬理作用の感覚を確認しながら利用すると良いでしょう。
(参考)カンナビジオール(CBD)事前審査報告書|世界保健機関(WHO)薬物依存に関する専門委員会(ECDD) 第39回会議(※日本臨床カンナビノイド学会による和訳)
効いてない!?CBDの効果実感には、少し時間が必要
CBDは、薬のように“すぐに”不快症状を改善するようなものではありません。
生体内に入ると様々な薬理作用が働き、少しずつ体の不調を整えていきます。
そのため、体全体の調子が整うまでには、すこし時間が必要なのです。
このことからも、CBDの効果実感には、1か月程度様子見をすると良いでしょう。
参考:臨床試験でCBDが有効だった疾患の摂取量
臨床試験でCBDが有効だった一部の疾患について、その際の摂取量をご紹介します。
※既に疾患に対して投薬治療等行っている場合には、必ずサプリメント(CBD)の使用について、医師に事前に相談の上、使用するようにしましょう。
- てんかん治療:CBD 200~300mg/日の経口投与を毎日、最大4、5ヶ月間。
(参考)Could Cannabidiol be a Treatment Option for Intractable Childhood and Adolescent Epilepsy?|Koo CM1, Kang HC2. - 慢性痛の治療:CBD2.5〜20mgの経口投与を約25日間。
- 睡眠障害(不眠症)の治療:CBD 160mgを経口投与。
(参考)Hypnotic and Antiepileptic Effects of Cannabidiol|The Journal of Clinical Pharmacology - 統合失調症の治療:CBD40〜800mgの経口投与。
このように、CBD製品は摂取方法によって生体利用効率が異なるため、効き方・薬理作用の感じ方が変わります。
また、個人の体調でも感じ方は変化します。
CBD製品の利用は、必ず少量からスタートし、薬理作用の感じ方を確認しながら、自分に合った量の増減を行いましょう。
日々の生活に「CBD」を足して、健康的な毎日を送りたいですね!