サプリメントの基礎知識
不足しがちな栄養素が手軽に補えると、大人気のサプリメント。
内閣府消費者委員会が行った調査(2012年)によれば、国民のうち約30%はサプリメントを毎日利用しており、過去の経験を含めると約75%(4人に3人)にも上っていると報告されています。
(参考)消費者の「健康食品」の利用に関する実態調査(アンケート調査)|内閣府2012年
近年、多様性のある作用が話題の「CBDオイル」も実は”サプリメント”の扱いなのです。
サプリメントの基礎知識-分類・種類・購買層
- 分類
「健康の増進のため」と摂取されることも多いサプリメントですが、“医薬品”ではなく、“食品”として「健康食品」に分類されています。
日本人にサプリメントが浸透する後押しとなったのが、2015年に始まった「機能性表示食品制度」とされています。
基本的に、医薬品以外の食品に対して、体の構造や機能への影響を表示(広告)することはできません。しかし、「機能性表示食品制度」により、国が設けた基準をクリアした商品については、機能(効果・効能)の表示ができるようになりました。
この制度がきっかけとなり、一般の人が自分に合った(必要と思う)サプリメントを選びやすくなりました。
「健康食品」と「サプリメント」の違いは?
どちらの言葉も何となく同じような意味で、捉えている人も多いのではないでしょうか。
「健康食品」≒「サプリメント」、あながち間違っていません。
日本の法律上、明確に定義されていませんが、一般的には健康食品とは「健康の保持増進に役立つとされる食品全般」のことをいい、サプリメントとは「特定成分が凝縮された錠剤やカプセル形態の製品」と考えられています。
ちなみに、アメリカでは“Dietary Supplement“を「従来の食品・医薬品とは異なるカテゴリーの食品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブ等の成分を含み、通常の食品と紛らわしくない形状(錠剤やカプセルなど)のもの」と定義し、ヨーロッパでも同様な定義がなされています。
- 種類
役割によって、大まかに3つに分けられています。
- ベースサプリメント
役割:体に必要な栄養素を補う
例)ビタミン、ミネラル(鉄・亜鉛)、アミノ酸、食物繊維、DHA、EPAなど - ヘルスサプリメント
役割:健康維持や増進、美容のため
例)イソフラボン、ローヤルゼリー、プロポリス、セサミン、カテキン、青汁など - オプショナルサプリメント
役割:症状の解消・体調の調整のため
例)ウコン、マカ、ブルーベリー、グルコサミンなど薬草・ハーブが主。
- 購買層
一番利用しているのは、全体の約7割を占める50代以上のシニア層です。
中には、月4万円以上サプリメント・健康食品を購入しているケースも見られ、総務省の調査(2018年)でも、家計支出に占めるサプリメント支出の割合について、65歳以上の高齢者世帯は、65歳未満世帯の約2倍であると報告されました。
(参考)統計からみた我が国の高齢者-統計トピックス No.113|総務省(P.15)
身体調節機能を補う!注目成分「CBD」オイルとは?
欧米では2019年も引き続き、「CBD」はトレンドキーワードとなっています。
それを受け、日本でも急速に知名度が広がっています。
CBDオイルの何が、そんなに良いのでしょうか?
CBDオイルの特徴:①身体機能のバランス調整②精神作用がない③高い安全性
CBDオイルには、“CBD(カンナビジオール)”と呼ばれる、多様な作用を持った成分が含まれているため、様々な分野で期待されています。
身体機能を調節するしくみ(ECS)を活性化できる
CBDは薬ではありませんので、病気を直接治すようなものではありません。
「植物性カンナビノイド」の一つとして、本来身体に備わっている免疫・痛み・感情・老化・運動機能・発達・認知などの機能(ECS:エンド・カンナビノイド・システム)のバランス調整に役立つ働きを持っています。
体の不調部分を整えることで、結果として様々な疾患に効果的であると分かってきました。
<現在までに確認されている主な薬理作用>
- 神経を落ち着かせるリラックス作用
- てんかん発作とけいれんの軽減作用
- 強い抗酸化作用
- 炎症を減らす作用
- 殺菌・細菌増殖を抑える作用
- 細胞損傷を止める、回復させる作用
- 慢性的な痛みの緩和作用
など。
精神作用のない「産業用ヘンプの茎・種子」が原料
CBDオイルの原料は、古くから薬草として利用されてきた「アサ(ヘンプ・大麻草)」。
中でもCBDオイルには、「産業用ヘンプ」という精神作用のある成分(THC成分)を0.3%未満に改良した「特別なアサ」が使用されています。その上、精神作用がほとんど含まれていない「茎・種子」を原料*1としているので、日本の法律上認められており、安心して利用できます。
*1アサの茎・種子を原料とした製品例:麻紐、織物、神道儀式、燃料、食品(ヘンプシード、麻の実)、ヘンプオイル(食用油)、化粧品など
精神作用があるTHC成分は“穂(花)・葉”に多く含まれている
日本の大麻取締法では、「THC成分が多く含まれる花穂・葉の利用を禁止」しており、一般的なCBDオイルの原料である「茎・種子」は、除外規定されています。
そのため、CBDオイルを選ぶ際には、必ず原料を確認し、品質管理(GMP等:日本よりも厳しいアメリカの健康食品に対する安全基準)がきちんと行われているメーカーを選ぶことが大切です。
注意
日本では、花穂・葉由来が含まれているCBDオイルは違法です!
人・動物も使用可能。WHOも認める“安心・安全”
世界保健機関(WHO)の薬物依存に関する専門委員会(ECDD)が、CBDの安全性と有効性を認める発表を2017年に行っています。
CBDはこれまでの研究で重篤な副作用はなく、高い安全性を持っていることが確認されており、ヒトだけでなく動物(ペット)にも利用可能です。
(参考)WHO/ECDDによるカンナビジオール(CBD)事前審査報告書の日本語訳|日本臨床カンナビノイド学会
CBDオイルの摂取方法
CBDオイルの摂取方法は、主に3つあります。
生体利用効率*2・メリット・デメリットを踏まえ、自分に合った方法を選びましょう。
*2生体利用効率:バイオアベイラビリティ。投与された薬物(製剤)が、どれだけ全身循環血中に到達し作用するかの指標。静脈投与は100%となる。
舌下(ぜっか)摂取
やり方:舌の下にCBDオイルを1滴~数滴垂らして、30秒ほどそのまま待ってから飲む。
生体利用効率:約35%。
メリット:舌の下にある毛細血管から吸収させるので、経口摂取(すぐ飲む)よりも約5倍良い。
デメリット:CBDオイルの味(植物原料なので、草っぽい味)をダイレクトに感じる。
ベポライザー使用(気化吸入)
やり方:ベポライザー(電子タバコのような専用キット)を使って、CBDオイル(リキッド)を気化させて吸入する。
生体利用効率:約30~40%。
メリット:面積の大きい肺から吸収されるので、生体利用率が高い。フレーバー(風味)が付いている商品もある。
デメリット:専用キットの準備が必要。
経口摂取
やり方:普通に口に入れて、すぐ飲みこむ。
生体利用効率:約6~15%。
メリット:一番手軽に摂取できる。スポイトやスプーンでそのまま飲む方法のほか、パンなどにCBDオイルをかけて取る、サプリメント(カプセル・錠剤)として飲む、CBDオイルが添加されているクッキーやチョコレートを食べるなど、いくつか方法があります。
CBDオイルとヘンプシードオイルの違い
同じヘンプ(アサ)が原料ということで、CBDオイルと混同しやすいものに「ヘンプオイル」があります。
ヘンプオイルは、一般的には「ヘンプシードオイル」のことを指します。
輸入食品やオーガニック食品のお店やで販売されており、ヘンプシードつまり「アサの種子」から抽出した“食用油“です。
ヘンプシードオイルにはCBDはほとんど含まれておらず、主成分は必須脂肪酸(リノール酸、α‐リノレン酸、γ‐リノレン酸など)とビタミン類(ビタミンA・E)です。
そのため、1本1,000円~3,000円と比較的安価で購入可能です。
一方CBDオイルは、CBD成分に特化したオイルですので、産業用ヘンプからのCBD抽出など原料に手間がかかります。
そのため、1本10ml程度と小容量ですが、4,000円~20,000円(CBD濃度によって異なる)で販売されています。
ヘンプシードオイルとCBDオイルは、原料となる植物が「アサ」という点では同じですが、使用される部位、用途、主成分などが全く異なるので、注意が必要です。
最近のサプリメント事情
話題のサプリメントとは?(DHA/EPA、スピルリナ、HMB、エクオール)
最近話題となっているサプリメントをいくつかご紹介します。
栄養補給
- DHA/EPA(フィッシュオイル)
青魚(マグロ・イワシ・サバなど)に多く含まれているオメガ3系高度不飽和脂肪酸*3。
心血管疾患リスクの低減・血中の中性脂肪の上昇を抑えること・関節リウマチの症状緩和に効果的。
*3オメガ3系脂肪酸:ヒトの体内で作ることができないため、食事から摂る必要がある必須脂肪酸。
美容・肌ケア
- スピルリナ
アフリカや中南米に自生する“らせん型”で濃緑色をした藻の一種。植物でありながら、植物の要素(必須アミノ酸全9種類、ビタミン類、β-カロテン、食物繊維、核酸)だけでなく、動物の要素(グリコーゲン、ビタミンB12)も併せ持っている。豊富な栄養素が注目され、NASAでは宇宙食としても研究中。
脳の機能UP、基礎代謝のUP、脂肪の燃焼促進、抗酸化作用、アンチエイジング、腸内環境改善、美肌に効果的。青色色素「フィコシアニン」を持つので、水につけると青い水になるので、天然の着色料としても注目されている。
症状改善・体調調整
- HMB(β-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)
特に、継続的に運動・筋トレを行っている人に注目されている成分。必須アミノ酸であるロイシンの代謝産物。タンパク質の合成促進・タンパク質の分解抑制機能があるため、筋肉量の増加に効果的。
筋トレ前に摂取するのがおすすめ。 - エクオール
40代・50代の女性におすすめ!女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをする成分。女性ホルモンが過剰な時は抑え、不足している時は補う作用のほか、抗酸化作用(身体をさびさせない作用)を持つ。
更年期障害の改善、骨粗しょう症やメタボリック・皮膚老化の予防に効果的。
2019年に流行が予想されている最新サプリ
これから流行が予想されている最新サプリメントをご紹介します。
- プロバイオティック
乳酸菌・ビフィズス菌に代表される人体に良い働きをする微生物。
次世代のプロバイオティクスとして注目されているのが、「フィーカリバクテリウム プラウスニッツイ」です。全腸内細菌の5%を占め、抗アレルギー・抗炎症作用など健康に有益な酪酸を産生する働きを持っています。 - クルクミン
カレーが黄色くなるスパイスとして、また“アルコールのお供”としても知名度の高い「ウコン」の根(イモ)部分にある成分。肝機能の改善や抗酸化作用のほか、欧米では抗炎症作用・抗ガン作用を目的とした研究も進められています。 - 貼るサプリ
これまで「サプリメント=経口摂取(飲むこと)」とされていた常識を変えた話題のサプリメント。1回につき1枚、湿布のようなシート型サプリメントを皮膚に貼るだけ(経皮吸収)。
毛細血管から成分を吸収するため、経口摂取に比べ、格段に成分吸収が良くなります。シートはビタミン類に特化したもののほか、美容向け・お酒を飲んだ後・健やかな毎日を送るためなど、目的別に様々な成分が配合されているものも発売されています。
過剰摂取に注意。サプリメントと薬の飲み合わせ
皆さんは、普段飲んでいるサプリメントを医療機関に伝えていますか?
サプリは「薬ではないし……」と、あえて医療機関に伝えていない人も多いのではないでしょうか。
しかし、サプリメントに含まれる成分によっては、薬との相性が良くない(薬の作用が強くなる・弱くなる)場合もあるので、摂取前に医師や薬剤師へ相談すると良いでしょう。
特に、血液凝固防止薬(ワーファリン)・血栓防止薬(バイアスピリン)・強心薬(ジゴキシンなど)・高血圧の薬は、相互作用が起こる可能性がある成分が比較的多い薬なので、注意が必要です。
代表的なものとして、次のような組み合わせがあります。
- セサミン/EPA/GABA/アルギニン⇔降圧剤(ディオバン、アムロジン、アムロジピンなど)
- DHA⇔糖尿病治療薬(グリメピリドなど)
- コエンザイムQ10/ローヤルゼリー⇔血液凝固防止薬(ワーファリン)
- 葉酸⇔抗てんかん薬(ヒダントイン系薬・バルビツール酸系薬)